
ご支援・応援をいただいている皆さまへ、心よりお礼申し上げます。
皆さまの温かいお気持ちが、大分市で新しい一歩を踏み出した「ぺんぎんサポート」の大きな支えになっています。
2026年4月に開所した相談支援事業所ぺんぎんサポートは、身体・知的・精神・難病など、障害のある方やそのご家族が、制度の壁や孤独に直面したとき、一緒に考え、共に歩む場所を目指しています。
管理者兼相談支援専門員の神林秀規さんは、23年間にわたり支援の現場に立ち続けてきた専門家でありながら、ご自身も重篤な病気と長期入院を経験した当事者です。
神林さんのことを知る人は、口をそろえてこう言います。「熱すぎるくらい親身」と。専門的な知識と23年のキャリアを持ちながら、決して上から目線にならず、相手のペースに合わせて寄り添い続ける——その姿勢は、ご自身が「言葉が届かない」孤独を経験したことと、深いところでつながっています。
今回は、神林さんにぺんぎんサポートへの思いとこれからについて伺いました。
「もう何を言っているのかわからない!」
その言葉は、今も耳に残っています。
2024年、私は大きな病気を患い、約1年間の長期入院を経験しました。気管切開をしていた時期は、言葉が出ませんでした。体も動かせず、ペンすら持てない。何かを伝えようとしても、うまく伝わらない。懸命に訴えようとした時、看護師にそう言われました。申し訳ない気持ちと、虚しい気持ちでいっぱいでした。
その時鏡で見た自分の姿は、どこか見覚えがありました。これまで接してきた、あの子たちと一緒だ——と。23年間、支援する側として障害福祉の現場に立ち続けてきた私が、今度は支援される側になって、初めて気づいたことでした。言葉が出なくても、人は伝えようとする。表情で、目で、わずかな仕草で。それが伝わらない時の孤独と絶望は、あの入院中に初めて知ったものでした。
支援者が「支援される側」になった日
言葉が話せるようになってからも、困難は続きました。服薬の影響で大量に発汗し、着替えの支援をお願いしたところ、こう言われました。「着替えは1日1回と決まっているから、さっき着替えたでしょ」。ルールの説明もなく、強い口調で。どうして駄目なんですかと聞き返すことも、お願いしますと頼むこともできず、ただ口を噤むしかありませんでした。今思えばそれぐらい言えるだろうと思うのに、あの時は言えなかったのです。
退院後、身体障害者手帳を申請しようとした時のことも忘れられません。勇気を出して言い出したことでしたが、医師からは「最初は寝たきりに近い状態でしたが、今は歩けるようになっていますよね。それで十分ではないですか。必要ないと思います」と言われました。医療ソーシャルワーカーも「先生がそうおっしゃっているので……」と、親身に動いてはくれませんでした。やはりそれ以上なにも言えませんでした。
最初から「ルールだから駄目だ」「あなたには必要ない」と決めつけられた、あの感覚。現在も両下肢に障害が残る私にとって、あの経験は今の支援の根っこにあります。
私は今、理事長・豆塚エリと共に大分市で相談支援事業所「ぺんぎんサポート」を運営しています。身体・知的・精神・難病など、障害のある方やそのご家族の相談を受け、サービス等利用計画の作成やモニタリング、関係機関との連携を行う事業所です。
2026年4月に開設したばかりのこの場所に至るまでに、あの入院の経験があります。
「最初から、決めつけない」
だから私は、どんな相談にも「まず受け止める」ことを出発点にしています。
制度と現実の間には、しばしばミスマッチがあります。使えるはずのサービスが使えなかったり、必要な時間数が認められなかったり。そのはざまで途方に暮れている方が、実際に多くいます。私が手帳申請で感じたあの理不尽さは、多くの当事者がどこかで経験していることでもあります。
「できない」「対応しない」と最初から線を引くような関わりは、したくない——。一緒に考えれば、突破口が見えることがある。そのミスマッチに寄り添い、解決策を一緒に探すこと。それが相談支援の仕事だと、私は思っています。
雑談から始まる、支援のかたち
「相談」「面談」という言葉に、身構えてしまう方は多くいます。だから私は最初から相談の話に入ることをしません。まず挨拶、そして雑談。自然な会話の中でその方のことが見えてくるし、こちらのことも知ってもらえます。
マスクをしていても笑顔が伝わるよう、表情を意識しています。「この一言」と決めているものはない。あくまで自然体で、相手の様子を見ながら声をかけていく——必要な言葉は、人によっても、その時によっても違うからです。これも最初から決めつけない関わり方の一つです。
支援の中で特に大切にしているのは、「なぜ前向きになれないのか」「なぜ言えないのか」と責めるのではなく、その背景を一緒に整理することです。いきなり大きな変化を求めず、まず小さな一歩が踏み出せるように。小さな成功体験を積み重ねることが、その人の生活を少しずつ変えていきます。
これまで関わってきた利用者さんから「熱すぎるくらい親身」と言われたこともあります。自分でも、思いが強すぎると感じることはある。でも、それは変えられないし、変えたいとも思っていません。これが私なのだと認めることで、利用者さんに伝わることもあると、私は思います。
「当事者の目線」を、言葉だけでなく
ぺんぎんサポートのコンセプトは「共に考える、共に生きる」です。
この事業所には、少し珍しい特徴があります。相談員である私自身が障害当事者であるだけでなく、運営法人こんぺいとう企画の理事長・豆塚エリさんも障害当事者です。相談員と理事長の双方が当事者の視点を持つ事業所は、全国的にも多くありません。
「当事者目線」という言葉は、支援の世界でよく使われます。でも、実際に経験したかどうかは、やはり違う。私は、伝わらない時の孤独を知っています。強い言葉の圧力を知っています。制度の壁に跳ね返された時の無力感を知っています。だからこそ、同じ思いを誰かにさせたくないと、心から思っています。
「こんなこと相談していいのかな」と躊躇している方にも、ぜひ声をかけてほしい。話しかけてみること——それだけで、何かが動き始めることがあります。
事業所情報
| 事業所名 | 相談支援事業所 ぺんぎんサポート |
| 開設日 | 2026年4月1日 |
| 所在地 | 〒870-0024 大分県大分市錦町3丁目4−24 |
| 営業時間 | 9:00〜17:00 |
| 対象 | 身体・知的・精神・難病などの障害のある方およびそのご家族 |
| 実施地域 | 大分市・別府市・その他(相談) |
| 提供サービス | 基本相談支援/計画相談支援/モニタリング/関係機関との連携・調整 |
| 管理者兼相談支援専門員 | 神林 秀規 |
| TEL | 080-7491-7872 |
| penguin_support@kompeito.org | |
| 運営法人 | 特定非営利活動法人こんぺいとう企画(理事長・豆塚エリ) |
| 関連事業所 | 就労継続支援B型 ぺんぎんクリエイツ(2025年8月開設) |


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